第2章 技術編「交渉の基本テクニックと戦術」
1.交渉の出発点と合意点はどこか
交渉とは2人(社)以上の当事者が、お互いに異なる立場から合意できるポイントまで動くプロセスである。従って、A社とB社のビジネス交渉においては、それぞれが、一方的な要望を呈示する出発点(現在地)から、両者が納得できる合意点(目的地)まで移動することが目標となる。
しかし、異なるA社とB社の立場から移動する場合、合意点となり得るポイントは複数存在するのである。
この場合、相手との合意点をはっきりと決めて、そこで折り合うための計画を持った者が有利であることは言うまでもない。方向性だけを漠然ととらえ、位置、距離、スピードなどに関する計画がまったくないまま出発する者は相手の思いのままに動いてしまう恐れが大きいのである。
2.プランニングのためのツール・ボックス
1つの交渉要素(例えば、取引金額)しかなければ、交渉の準備は、これに関する目標値を決めておくだけで済む。その場合は「戦略」が、特に必要とならない。
しかし、実際のビジネス交渉となると、結果として、計るべき要素が多岐に渡る場合が多い。
従って、全ての要素を希望どおりに操作し、管理するため、戦略的アプローチが必要となる。
取引結果に、多数の要素が複雑に絡み合っているということを忘れると、失敗することがある。
(例)
1年間無料修理というサービスが付いていた。故障したので、修理を依頼したところ、実は回収してくれないだけでなく、送料も自己負担だった。
取引には、金額以外の要素(変数)が、多数存在し、それぞれについての個別計画(目標値)が必要となるのである。
交渉に挑む前に、いかに多くの取引変数に対して準備できるかが、結果の良し悪しに影響する。
交渉に挑む前に、プランニングしておきたい内容は、次の3つである。
1) どのような要素(変数)が存在するのか?
2) それぞれの要素(変数)において、どのような結果を目指すのか?
3) どのテクニックを使って、その結果を導くのか?
以上の課題について、あらかじめ、考えをまとめておくことが戦略的プランニングであり、これを実施するためのツールを知ることが大切である。
交渉に必要な技術手法を理解し、今後の交渉準備で活用する自分なりのツールボックスを整備していただきたい。
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