「事件」は第3戦の5回表に起こる。
突然、ベーブ・ルースが打席をはずし、胸を張って右手の人差し指を外野席の方向に向けたのだ。
そして打席に戻ると、次の球を強打した。
打球は一直線に伸びて、彼が先ほど指さした外野席に飛び込んだ。
今も語り継がれている予告ホームランだ。
この話から学ぶべき教訓がある。
もしベーブ・ルースが打球を外野席に飛ばすつもりでいることを観客にアピールするための外野席を指さしたとしたら、ボールがそこの飛ぶ確率が高まったことは間違いない。
それに心のエネルギーを集中したからだ。
彼は打球が外野席に飛んでいく様子を心の中でイメージしていたのだろう。
もちろん、そうることによって百パーセント成功するという保証はないが、成功の確率が高まったことは確かだ。
イメージトレーニングの効果は、プロのスポーツ選手たちのあいだで昔から知られていた。
彼らは十分な時間もかけて自分の動作を心の中でイメージし、その動作をよりスムーズに実行できるようにしていたのである。
チャンピオンはジムの中で作られるのではない。
チャンピオンは心の奥底にあるビジョンから作られるのだ。
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