その国では、占領した国の高官を逮捕してとらえると、城壁を磨く仕事をさせていた。
それは危険で、もっとも下級の者のする仕事とされていたからだ。
壁を磨く者たちの顔には、「なんで俺たちがこんなことをしなければならないのか」という不満と羞恥と絶望が、ありありと浮かんだ。
ある日のこと、その国の王様の目に、実に楽しそうに城壁を磨く若者の姿が映った。
気高くさえ見えた。
それは占領した隣の王子だった。
やがて、子どものいなかった王様は、その王子に王位を譲り、いつしか、城壁を磨く仕事は、選ばれた者にのみ許される高貴な仕事となった。
王子と他の高官たちとの違いは何か?
それが、自分自身に誇りを持つ者とそうでない者の違いだ。
自分に誇りが持てないとき、人は、自分がやっていること、持っているもの、関わる人々によって、それを得ようとする。
すでに自分に誇りを持っている人は、自分がやっていること、持っているもの、関わる人々を誇り高いものにする。
では、王子ではない私たちは、どうすれば誇りを持つことができるのか?
自分に恥じることをしないこと、そしてすでに十分に成功した自分が自ら選んで、この仕事をしている、という立場で物事にあたることだ。
その仕事から価値を得ようとするのではなく、すでに十分に価値ある自分が、その仕事に価値を与えている、ということを忘れないようにするのだ。
これは自己暗示ではない。事実だからだ。
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