2011年5月5日木曜日

『社風の重要性』・・・社風は文書化されていない怖い「マニュアル」だ

焼肉チェーン店で「腸管出血性大腸菌 O-111」により死亡者が出てしまった。

厚生労働省は「生食用の肉」の安全確保のための通知を出していた。


▼生食用食肉等の安全性確保について
     ↓
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1009/h0911-1.html


ここには、細かく肉の取り扱い方法が規定されている。

こういう健康や生命に関わる規定は「守らなければならない」。

GCPでもGMPでもGLPでも、同様だ。


それが「人的」に破たんした時に「被害」がでる。

どんなに厳重な取扱い規定が有ったとしても、守らないと意味が無い。

そのためには、まず、その規定が「どうして」設定されているのか、を理解していないと、コンプライアンスが悪くなる。


昔、「りんかい事故」があった時も国の管理規定に沿った正規「マニュアル」を守らずに作業効率を優先した「裏マニュアル」を作業員が行っていたために発生した。

(東海村JCO臨界事故:1999年9月30日)

この事故の時は「裏マニュアル」を使ったために、硝酸ウラニルの濃度が異常に高くなり、臨界事故になった。

正規のマニュアルでは、硝酸ウラニルの濃度を一定以下に保つために設定されていたのに、その意味が分からずに、勝手に作業効率のために裏マニュアルを作っていた。


だから、GCP等でも「原文」を丸暗記だけしていても「ちょっと忙しい」と、守られなくなる。

何故、治験ではIRBの審議が必要なのか、何故、治験では契約が必要なのか、何故、インフォームド・コンセントが必要なのか、を理解しておく。


また、治験でも「社風」が大事だ。

「効率最優先」の社風なのか、「安全優先」の社風なのか。

「SOP重視」の社風なのか、「効率優先」の社風なのか。

「意見を言いやすい」社風なのか「意見を言いにくい」社風なのか。


僕も今の会社で7社目だが、過去の会社を思い出しても、確かに「社風」というものがあった。

「パイオニア精神重視」の社風だとか、「確実路線重視」の社風だとか。

「実践重視」の社風だとか「マインド重視」の社風だとか。

「社風」は言ってみれば「文書化されていないマニュアル」だ(ある意味、とても怖い存在だ)。


そういう社風があるところに、純白無垢の新入社員が入ってくると、半年で、社風に馴染むことになる。

ここが重要だ。

知らず知らずのうちに社風が伝承されていく。

社風を甘くみないほうがいい。

社風は「無意識」レベルにまで身に染みるので、「SOPを守らなくても何も感じない」ということになりかねない。


では、あまりよろしくない社風を変えるにはどうしたらいいのか?

そのためには、まず目指したい社風を考える。

それが決まったら社長や経営層レベルから現場レベルまで、全社、全組織一丸となって「その目標を達成する!」という意識を身につけるまでシステム的に意識を変えさせる。

SOPも変える、規則も変える、それと「無意識」レベルまで染み込むよう、研修を実施する。

「社風改革委員会」とか「社風改善部」という組織を作るのもいい。

こういう名前ではないが、それに似た働きを持った部署のある会社に僕自身もいたことがある。

とにかく社風を変える方法としては、「王道」は無いので愚直にやるしかない。

参考になる本はこれ。
  ↓
「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ 」
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なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ (日経ビジネス人文庫)






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社風改革では「どうせ何も変わらないさ」と足をひっぱる人間は必ず出現する。

もちろん、前向きに「変わらないとあぶない」という危機意識が芽生えてくる社員も多い。


結局、最終的には、社風が変わるか、変わらないかは、その会社の社員の意識にかかってくる、というあたりまえだがとても難しいことになる。

まずは、「SOP」ではなく「実態」を調べることから始めてみよう。


「うちの社風は問題ない」と思うようなら、それが問題の社風だ。

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