2011年5月5日木曜日

ほのぼの切ないお勧め小説●『気をつけ、礼。』(重松 清)

僕は、あの頃の先生より歳をとった―それでも、先生はずっと、僕の先生だった。

受験の役には立たなかったし、何かを教わったんだということにさえ、若いうちは気づかなかった。

オトナになってからわかった…


画家になる夢に破れた美術教師、ニール・ヤングを教えてくれた物理の先生、怖いけど本当は優しい保健室のおばちゃん。

教師と教え子との、懐かしく、ちょっと寂しく、決して失われない物語。

時が流れること、生きていくことの切なさを、やさしく包みこむ全六篇。


教師と生徒の関係を描いた短編集。

教師って完璧ではない。

聖人君子でもないし、神様でもない。

この作品に出てくる教師はどれもいい意味でも悪い意味でも 一人の人間である。

責めることは出来ないけれど、 もう少しどうにかならないものか・・・と思う教師もいる。

でも、振り返ったときに生徒と生徒の関係はどれも悪い思い出として残っていない。

もちろん現実ではそういうことばかりではないけれど、自分の経験を振り返ってみても生徒のときはすごく嫌いだった先生でも今思い出すとなぜか許してしまえたりしている。


月日はいろんな意味で寛容なんだな。


この本の中で一番心に残ったフレーズ。

「センセ、オトナにはなして先生がおらんのでしょう。
先生なしで生きていかんといけんのをオトナいうんでしょうか」


忌野清志郎が『RCサクセション』時代に歌っていた『僕の好きな先生』を小説にしたようなものです。

大事件も起こらないし、ヒーローもヒロインもいないけれど、「いい話しだな・・・・」と思える心暖まる短編集。

学校の先生って、実は人生を左右するほどの存在だけど、給料は驚くほど安いよな。(僕は教師じゃないけれど)。

幼稚園や小学校の低学年ほど、「いい先生」が必要なので、もっと給料を上げて欲しい、と、これは本書には関係の無い話し。


『気をつけ、礼。』・・・・・先生のいない「オトナ」にお勧めの一冊。


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『社風の重要性』・・・社風は文書化されていない怖い「マニュアル」だ

焼肉チェーン店で「腸管出血性大腸菌 O-111」により死亡者が出てしまった。

厚生労働省は「生食用の肉」の安全確保のための通知を出していた。


▼生食用食肉等の安全性確保について
     ↓
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1009/h0911-1.html


ここには、細かく肉の取り扱い方法が規定されている。

こういう健康や生命に関わる規定は「守らなければならない」。

GCPでもGMPでもGLPでも、同様だ。


それが「人的」に破たんした時に「被害」がでる。

どんなに厳重な取扱い規定が有ったとしても、守らないと意味が無い。

そのためには、まず、その規定が「どうして」設定されているのか、を理解していないと、コンプライアンスが悪くなる。


昔、「りんかい事故」があった時も国の管理規定に沿った正規「マニュアル」を守らずに作業効率を優先した「裏マニュアル」を作業員が行っていたために発生した。

(東海村JCO臨界事故:1999年9月30日)

この事故の時は「裏マニュアル」を使ったために、硝酸ウラニルの濃度が異常に高くなり、臨界事故になった。

正規のマニュアルでは、硝酸ウラニルの濃度を一定以下に保つために設定されていたのに、その意味が分からずに、勝手に作業効率のために裏マニュアルを作っていた。


だから、GCP等でも「原文」を丸暗記だけしていても「ちょっと忙しい」と、守られなくなる。

何故、治験ではIRBの審議が必要なのか、何故、治験では契約が必要なのか、何故、インフォームド・コンセントが必要なのか、を理解しておく。


また、治験でも「社風」が大事だ。

「効率最優先」の社風なのか、「安全優先」の社風なのか。

「SOP重視」の社風なのか、「効率優先」の社風なのか。

「意見を言いやすい」社風なのか「意見を言いにくい」社風なのか。


僕も今の会社で7社目だが、過去の会社を思い出しても、確かに「社風」というものがあった。

「パイオニア精神重視」の社風だとか、「確実路線重視」の社風だとか。

「実践重視」の社風だとか「マインド重視」の社風だとか。

「社風」は言ってみれば「文書化されていないマニュアル」だ(ある意味、とても怖い存在だ)。


そういう社風があるところに、純白無垢の新入社員が入ってくると、半年で、社風に馴染むことになる。

ここが重要だ。

知らず知らずのうちに社風が伝承されていく。

社風を甘くみないほうがいい。

社風は「無意識」レベルにまで身に染みるので、「SOPを守らなくても何も感じない」ということになりかねない。


では、あまりよろしくない社風を変えるにはどうしたらいいのか?

そのためには、まず目指したい社風を考える。

それが決まったら社長や経営層レベルから現場レベルまで、全社、全組織一丸となって「その目標を達成する!」という意識を身につけるまでシステム的に意識を変えさせる。

SOPも変える、規則も変える、それと「無意識」レベルまで染み込むよう、研修を実施する。

「社風改革委員会」とか「社風改善部」という組織を作るのもいい。

こういう名前ではないが、それに似た働きを持った部署のある会社に僕自身もいたことがある。

とにかく社風を変える方法としては、「王道」は無いので愚直にやるしかない。

参考になる本はこれ。
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「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ 」
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社風改革では「どうせ何も変わらないさ」と足をひっぱる人間は必ず出現する。

もちろん、前向きに「変わらないとあぶない」という危機意識が芽生えてくる社員も多い。


結局、最終的には、社風が変わるか、変わらないかは、その会社の社員の意識にかかってくる、というあたりまえだがとても難しいことになる。

まずは、「SOP」ではなく「実態」を調べることから始めてみよう。


「うちの社風は問題ない」と思うようなら、それが問題の社風だ。

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オススメのミステリィ●死ぬのは1年だけ待って●『チェーン・ポイズン』(本多 孝好)

あと1年。

死ぬ日を待ち続ける。

それだけが私の希望――。

かりそめに生きることは、もうできない。

選んだのは「死」。



一方で、不思議な自殺の連鎖を調べる記者。

そこに至るただひとつの繋がり。

「生」の意味を現代に投げかける、文句なしの最高傑作!




誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。

簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。

死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。

「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」

それは決して悪い取り引きではないように思われた――。



「この先、このまま生きていっても、きっと何も変わらないだろう」と、自分の人生に絶望し、自殺することに決めた女性。

死を決意した彼女の一年間を追っていく話をAとすると、複数の自殺者の死の特異な共通点に気がつき、その真相を調査していく週刊誌記者の話はB。

AとB、今から一年と数ヶ月前に話がはじまる前者と、ある共通点が見受けられる自殺が続いた現在から話がはじまる後者が交錯する形で、ストーリーが進んでいくミステリ。

終盤に向かうに連れてぐんぐん面白くなっていき、目が離せなくなってしまう。



一年後に自殺することを心の拠り所にして生きていく女性の変貌、生き生きとした人間らしさを取り戻していく姿、その変化が魅力的に描き出されている。

そこが、まず素晴らしい。

一年間の暇つぶしのためにとボランティアすることになった養護施設で、子どもたちやスタッフと過ごしていく中、彼女は変わっていく。

終盤、彼女の心境と行動の変化にすっかり魅せられ、胸にこみ上げてくるものがある。


さらに、ある場面で、ある絵柄ががらりと変わり、「えっ!!??」と仰天させられる。

全く念頭になかったので、これにはすっかりダマされてしまった。

背負い投げ一本、てな感じですかね。

著者に投げ飛ばされてから、あわてて前の頁に戻って読み返しまして、「ああ、不覚。ああ、錯覚」と、自分の頭をこつんと叩いた次第。



ミステリー小説とも言えるが、ミステリーの境地を超えた「生」と言うテーマが、根底に流れている。

「死」というテーマを全面に押し出し「生」の意味を考える。

すばらしい構成になっている。

文体も平易で、読みやすく、いっきに読める(と言うか、目が離せなくなる)。



人間、いつ死ぬのかわからないからこそ、今日という日を一生懸命生き らるのかもしれない。

本を閉じて、ふとそう感じた。



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